薬用草木 ──薬食同源

表紙の花 シンシュウダイオウ(生薬:大黄 ダイオウ)

シンシュウダイオウ

ダイオウはかなり大型の植物で、花茎が2m 、葉の長さが1m を超えることもあるが、花は写真のように小さくて地味である。葉柄を砂糖漬けやジャムにするルバーブと近縁だが、薬用にする種の根茎には下剤の作用と駆瘀血作用があり、がっちりした体型で体力が充実した人向けの漢方処方にしばしば配合される。シンシュウダイオウは、夏の高温多湿に弱いダイオウを日本で栽培できるように育種したもので、現在でも医薬品原料用に日本で栽培されている。
Rheum coreanum Nakai × Rheum palmatum Linné (タデ科)

1月 ソシンロウバイ(生薬:蝋梅花 ロウバイカ)

ソシンロウバイ

正月元旦の寒い庭で花が咲いているのを見ることができる。日本ではあまり薬用にはしないが、中国では咲き始めの花を収穫して生薬にする。
花は乾燥させても強い香りが残り、気を巡らせて鬱々とした気分を晴れやかにする効果があるという。
ロウバイは内側の花被片(花びら)が赤いものが一般的だが、写真は花被片が全部黄色く香りがより強い園芸品種でソシン(素心)ロウバイと呼ばれるものである。
Chimonanthus praecox (L.) Link (ロウバイ科)

2月 セリバオウレン(生薬:黄連 オウレン)

セリバオウレン

野外を歩くにはまだ寒すぎる時期に開花するので、花は見たことがないが矢車状の果実なら知っているという方が多いかもしれない。
写真の2本の花茎のうち左は雄しべしかない雄性花、右は雄しべと雌しべが両方ある両性花をつけている。花弁のように見える一番外側の大きな白色花被は萼片で、 その内側の小さな花被が花弁である。根茎は漢方処方や昔ながらの家庭薬に配合されるが、ベルベリンを多量に含んでおり、濃く鮮やかな黄色である。
Coptis japonica Makino (キンポウゲ科)

3月 エンゴサク(生薬:延胡索 エンゴサク)

エンゴサク

塊茎に鎮痛作用が期待される中国原産の植物で、日本にはエゾエンゴサクなど近縁種がいくつか自生する。
早春の山歩きでは明るい日陰の道端に、写真のようなハイヒールのパンプスシューズを思わせる形の花を見つけるかもしれないが、本州ではそれは多くがムラサキケマンであろう。
ムラサキケマンや花色が黄色のキケマンは、近畿の有名ハイキングコース沿いにもたくさん生えるエンゴサクに近い仲間であるが、エンゴサクのような塊茎はつくらない。
Corydalis turtschaninovii Besser forma yanhusuo Y. H. Chou et C. C. Hsu (ケシ科)局 / Corydalis yanhusuo W.T.Wang (ケマンソウ科)

■解説   伊藤 美千穂先生(京都大学大学院薬学研究科 准教授)
■撮影協力 武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園
■写真   近江 哲平[富士精版印刷株式会社]
■デザイン 河野 公広[富士精版印刷株式会社 東京支店]