薬用草木 ──薬食同源

表紙の花 ウコン

ウコン

肝臓によい、二日酔いの予防に良い、などのふれこみで今やよく知られるようになった薬用植物。利胆作用があるとされるが、日本で汎用される煎じの漢方処方には生薬ウコン(鬱金)が含まれているものは無く、火傷や外傷の化膿防止、痔疾、熱をもった皮膚トラブルなどに使われる“中黄膏”という外用薬に配合される。香辛料としてはターメリックと呼ばれ、カレー粉に含まれているほか、たくあんの色づけにも使われる。花が華やかで長持ちするので、観賞用の品種も多くある。
学名:Curcuma longa L.(ショウガ科)

1月 チョウジノキ

チョウジノキ

熱帯アジア原産の木で蕾を生薬チョウジ(丁子)として使う。日本の薬用植物園では温室内でみることができる。 写真の花序(花の配列)では白っぽい方が蕾で、外側が赤いものは花後の若い果実である。精油には局所麻酔作用があり、歯科治療ではおなじみのにおいである。
香辛料としてはクローブと称し、ハンバーグやクッキーの香り付けに欠かせないほか、タバコにもこの香りが添加された製品がある。
Syzygium aromaticum(L.) Merr. & L.M.Perry (フトモモ科)

2月 ワサビ

ワサビ

特有の鼻にツンとくる辛みは、ワサビをすりおろす際にシニグリンという化合物が酵素によって分解され、その結果生成したアリルイソチオシアネートという揮発性の化合物によるもの。この化合物には抗菌作用がある。
植物としては、チューブわさびの主原料となる西洋わさび(ホースラディッシュ)とともにダイコンやハクサイと同じ仲間である。
Eutrema japonica (Miq.) Koidz.(アブラナ科)

3月 カリン

カリン

ひとつの花芽に一つずつ花が咲くボケに近縁の植物で、中国原産。秋に熟す香り高い果実をシロップ付けなどにして咳止めに用いるが、この果実は無毛である。
他方、よく似た植物にマルメロがあり、こちらは中央アジア原産で果実は綿毛に覆われている。
家具や仏壇などの唐木細工に珍重される“カリン”はマメ科の別な植物である。
Chaenomeles sinensis (Thouin) Koehne (バラ科)

■解説   伊藤 美千穂先生(京都大学大学院薬学研究科 准教授)
■撮影協力 武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園
■写真   近江 哲平[富士精版印刷株式会社]
■デザイン 河野 公広[富士精版印刷株式会社 東京支店]