薬用草木 ──果実がきれいな薬用草木

10月 ナツメ

ナツメ

ナツメは大昔からヒトが食用・薬用に品種改良を繰り返してきた植物で、現在も多様なものが利用されている。 果実を生薬(しょうやく)の大棗[タイソウ]にするナツメは枝に棘(とげ)がなく、タネを酸棗仁[サンソウニントウ]という生薬にするナツメは枝に鋭い棘がたくさんある種類である。
大棗には抗アレルギーや生理不順の改善などの効果が期待され、酸棗仁は不眠症や神経症をターゲットとした漢方処方に配合される。
Zizyphus jujuba Miller var. inermis Rehder

11月 サンシュユ

サンシュユ

早春のまだ寒さが十分に残る頃に黄色い小さな花を枝いっぱいにつける木で、生け花の花材としても有名だが、薬用には熟した果実を使う。滋養強壮の効果がある。
透明感のある赤い楕円形の実は少し甘酸っぱくてえぐみがある味がするが、晩秋に葉が全部落ちても落ちずに残る。
なぜか鳥たちにはあまり人気がなく、春先に新芽が出るまで枝についていることが多い。
Cornus officinalis Siebold et Zuccarini

12月 クチナシ

クチナシ

花の香りが良いのでしばしば街路樹としても利用される木本だが、生薬にするのは果実である。食品に黄色い色をつけるのにも利用され、正月のおせち料理に彩りを添えるきんとんや栗の黄色がそれである。生薬名を山梔子[サンシシ]といい、胆汁(たんじゅう)の流れをよくする効果があるとされる。
野生のクチナシの花はひとえだが園芸品種には大輪八重咲きが喜ばれるものの、八重咲きの花には実がつかない。
Gardenia jasminoides Ellis

■解説   伊藤 美千穂先生(京都大学大学院薬学研究科 准教授)
■撮影協力 武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園
■写真   近江 哲平[富士精版印刷株式会社 撮影スタジオ]
■デザイン 河野 公広[富士精版印刷株式会社 東京支店]
■カラーマネージメント 滝口 章人[富士精版印刷株式会社 プリプレス部]