よみがえる王朝絵巻 白描源氏物語 第2版

源氏物語と情報コンテンツ産業

源氏物語は、文学のみならず、わが国の美術工芸に大きな影響を与えてきました。印刷技術の歴史とも大きな関わりを持っています。
日本には世界最古の印刷物・百万塔陀羅尼が存在しますが、印刷物は仏典や漢籍などに限られていました。源氏物語も印刷物ではなく、貴族や大名家などに写本が伝わるだけでした。江戸時代に始まる商業印刷出版によって、源氏物語というソフトも、印刷技術というハードも、初めて大衆のものになったのです。
挿絵による視覚的な理解を取り入れた『絵入源氏物語』は、江戸時代最大のベストセラーの一つです。『偐紫田舎源氏』などのパロディ小説も人気を集め、錦絵・すごろく・かるたなどの素材にもなりました。それは現代のキャラクタービジネスの先駆でもあります。
もとより源氏物語は五十四帖、約百万文字からなる一大長編物語です。本書は入門書に徹し、一帖一ページであらすじを要約しています。
第2版の刊行にあたっては、訳文は全面的に見直しています。ハード面では、製本は見開きの良さ(広開度)を重視して、PUR製本を採用、源氏絵巻のイメージに近づくよう仕立てました。
源氏物語こそがわが国の印刷・出版の発達と普及を支えたキラーコンテンツです。
千年以上の時を刻んできた源氏物語。歴史文化遺産を守り抜き、後世に伝えていく印刷業の使命を再確認すると共に、新しい時代のコンテンツの創造へと邁進してまいります。

若菜(柏木)
若菜(柏木)

浮舟(浮舟と匂宮)
浮舟(浮舟と匂宮)

『白描源氏物語』
画:安沢 阿弥 先生(日本美術院院友)
文:小金 陽介(富士精版印刷株式会社)
お試し版を読む(電子版)